JSH2025改訂対応:冬場の血圧管理と「125/75」の新基準
- 加藤医院
- 4 日前
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岡崎の底冷えと心血管イベントのリスク
こんにちは。院長の加藤です。 大寒を過ぎ、矢作川や乙川から吹き付ける風が一段と冷たく感じる季節となりました。岡崎特有の底冷えが続いていますが、体調を崩されてはいませんか?
私たち内科医にとって、この季節は一年で最も緊張
感が高まる時期です。寒冷刺激は単なる「寒さ」ではなく、生体にとって強力なストレッサ―となり、心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントの引き金となるからです。
生理学的メカニズム:なぜ冬に血圧が急上昇するのか
寒さを感じると、私たちの体は体温の放散を防ぐため、自律神経の一つである「交感神経」を活発化させます。すると、体内でカテコラミンというホルモンが放出され、末梢血管が強力に収縮します。これにより血管の抵抗が増大し、血圧が上昇します。
特に注意すべきは、起床時に血圧が急激に上昇する「モーニングサージ(早朝高血圧)」と呼ばれる現象です。 冬場の早朝、暖かい布団から寒い室内へ移動する際の急激な温度変化は、血圧を乱高下させ、血管内皮に物理的なダメージを与えます。これが血管の内側にたまった、脂肪などの塊(プラーク)の破裂を招き、急性疾患を引き起こす要因となるのです。
最新の知見:JSH2025ガイドラインの大転換
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2025年に「高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)」が改訂されました。今回の改訂で最も重要な変更点は、降圧目標値の「引き下げ」と「一本化」です。
これまで複雑だった目標値が整理され、原則として全年齢で診察室血圧「130/80mmHg未満」を目指すこととなりました。 これに伴い、家庭血圧の降圧目標値も「125/75mmHg未満」へと厳格化されています。
これは、従来の目標値では脳心血管病のリスク抑制が不十分であるという世界的な医学的エビデンスに基づいています。「130台だから大丈夫」というのは、過去の常識となりつつあります。

健診結果で「要観察・要受診」となった方へ
健診で血圧高値を指摘されているにも関わらず、「症状がないから」と受診を先送りにされていませんか? 高血圧はサイレントキラー(沈黙の殺し屋)と呼ばれ、自覚症状が出た時点ですでに心臓肥大や腎機能障害(CKD)などの「臓器障害」が進行しているケースが少なくありません。
早期に介入し、新ガイドライン(JSH2025)に基づいた厳格なコントロールを維持することで、将来の死亡リスクを有意に低下させることが証明されています。 「薬を飲むこと」が目的ではなく、「将来の健康寿命を守るためのリスク管理」として、一度診察を受けていただくことを強くお勧めします。
結びに
当院では、最新のガイドラインに準拠しつつ、患者さん個々の生活背景や体質を評価し、安全かつ最適な治療方針をご提案します。 血圧管理は、季節変動に応じた調整が重要です。ご自身の血管を守るため、まずは気軽にご相談ください。
